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POP I/O.

記録と記憶、たまにアウトプット。48と46。

「ワールド・ウォーZ以降」の雪崩れゾンビ作品挙げてく【映画・漫画・ゲーム・CM】

映画・ドラマ 小説・コミック

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ウィルス感染者タイプを含めた、いわゆる『ゾンビもの』の作品、面白いですよね。

 

21世紀はこのゾンビのスタイルに大きな変化がありました。

『28日後…』('02 イギリス)で彼らは全力疾走したんです。一心不乱。めちゃくちゃ速いし、そしてめちゃくちゃ凶暴でした。

 

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これは革命でした。

厳密には初めてゾンビが走った作品は別にありますが、この作品は現在の『走るゾンビ』スタイルが確立される上でターニングポイントになります。

 

これに呼応するように『ドーン・オブ・ザ・デッド』('04 アメリカ)や『●REC』('07 スペイン)、『ザ・ホード -死霊の大群-』('10 フランス)など、俊敏で凶暴な、走るゾンビの傑作映画が多数公開。まさに世界的な潮流ができていました。下はロバート・カーライルの半べそ顔に誰もが共感した『28週後…』('07 イギリス)。

 

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漫画『アイアムアヒーロー』('09〜 日本)でも、彼らはえげつない動きを見せてくれています(実写版の方は未見ですが、恐らく走ってるでしょうし、映画自体の評価も面白かったという口コミを聞きますね。)

 

もはやこの『走るゾンビ』、ひとつのスタイルとして異論を唱える段階にはありません。

 

そして『28日後…』の公開からおよそ10年。

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『ワールド・ウォーZ』('13 アメリカ)が公開されます。

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ご覧ください、ゾンビが雪崩れ、あるいは蟲の大群のようです。非常にショッキングでインパクト抜群ながら、とてもキモチイイ絵面となっています。

 

『28日後…』から10年の歳月を経て、この『WORLD WAR Z』がゾンビの表現の新たな扉を開いたのです。

登場人物や観客は彼らが疾走するだけでも心が折られるのに、今度の彼らはその圧倒的な物量でもって雪崩れこんできます。そのため海外ではスウォーム(swarm、大群)系なんて言われ方も。確かに、いい感じにウゾウゾ、グニョグニョと蠢いてますからね。疾走するゾンビたちが肉の渋滞を起こし、折り重なり、やがて溢れるようにグォンと波を起こすのが特徴のひとつです。

 

さて前置きが長くなりましたが、昨今このスタイルがあらゆる分野に波及し、まさに『ワールド・ウォーZ以降』、『ポスト・ワールド・ウォーZ』というべき作品が生み出されてきていることに気付いたので、以下に簡単にまとめてみたいと思います。

なおワールド・ウォーZ的な手法であれば彼らがゾンビかどうかは問いません。

私はゾンビマニアを名乗れるほどの者ではないので当然見落としもあると思いますが…。そのへんはぬるい目で見ていただけたら幸いです。

[映画] 釜山行き

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未知のウィルスが韓国全土に広がり、人々が次々にゾンビ化していく中、韓国の高速鉄道の乗客たちは唯一安全と言われる釜山へと向かう……

 

ヨン・サンホ監督が手掛ける韓国産ゾンビパニック・サバイバルホラー映画『釜山行き(英題: Train To Busan)』は、本国の方で7月20日に公開されたばかりの作品です。カンヌ国際映画祭以降、世界的に好評を受け、一般公開が強く待たれていました。

この作品は韓国のワールド・ウォーZとも言われるほどで、予告編ではまさにあのようなゾンビの群れが雪崩れるように押し寄せてきます。はたして主人公らは幼い娘や妊娠中の妻を守り、釜山へとたどり着けるのでしょうか。

韓国映画の持つエネルギー、過激な描写や生命力に満ちた俳優の演技、そしてエンターテインメント性の高さ。こういったものがゾンビ映画の中でどんな仕上がりになっているのか、楽しみな一品です。

 

雪崩れゾンビたちのいいスクショがとれなかったので…ぜひ下の予告編をご覧ください。

 

 

この作品、なんでも公開初日に87万2,389人を動員し、韓国映画史上最高のオープニング記録を打ち立てたとのことです。さらに公開2日目には200万人の観客を突破、現在進行形で多くの記録を刷新しているそうです。

参考: コン・ユ主演「釜山行き」公開2日で200万人を突破!“新記録達成” - Kstyle

[ゲーム] Days Gone

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先日のE3 2016でPS4向けタイトルとして発表された『Days Gone』は、人類の大半が死に絶えた終末世界でのサバイバルを描くオープンワールドのゲーム。

"Freaker"と呼ばれるゾンビ風のクリーチャーがそこかしこに徘徊しており、これと立ち向かいながらサバイブを繰り広げる模様。

以下のプレイ動画が公開されており、主人公に襲いくるゾンビ・ウェーブが確認できます。ラストはなんと……

 

 

ゴア表現しっかりのアクション&サバイバルのゲームでありながら、人間同士のドラマにフォーカスした作りになっていることや、主人公は元バウンティハンターで、現在は生き延びるためバイクで旅を続けるタフな男である点など、ドラマ『ウォーキングデッド』シリーズを彷彿させます。

[漫画] HUNTER×HUNTER

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冨樫義博先生の代表作『HUNTER×HUNTER』。

この漫画の世界には『念』という能力が存在し、登場人物たちはこれを用いてしのぎを削り、あらゆるミッションを遂行します。

 

上の画像は……(※作品のファンで単行本派の方は一応ネタバレ注意)……上の画像は、ヒソカとクロロというキャラクターの対決シーンでみられた一幕。クロロの念能力によって周りの人間が意志なき肉の操り人形となり、圧倒的な物量でヒソカを飲み込んでいく演出は、まさに『ワールド・ウォーZ』的。果たして結末は……?

 

※当該のシーンは最近の少年ジャンプ掲載分で、記事公開時点(2016年7月23日)では単行本化前です。

[CM] アウディ TV-SPOT "Mechanics"

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2015年に公開されたAudi DeutschlandのCMが大変なことになっていました。

  

 

走行中のアウディ。急にメーターパネルに異常を知らせる表示が。そこへ、整備士の男たちが、まるで人間を感知したゾンビのように、ひとりまたひとりと増えていき、押し寄せる雪崩れのように迫ってきます。さながらワールドウォーZのエルサレム状態の中、クルマはかろうじて直営の整備工場へ逃げ込みます。
そして最後にテロップが表示されます。「誤った手にあなたのアウディを渡さないで」不具合はアウディ正規の24時間緊急サポートサービスへ、というコマーシャルでした。

 

雪崩れて押し寄せるゾンビの手法を使って自社のサービスをコマーシャルするとは……普通考えつきません。アウディのコマーシャルは毎回趣向が凝らしてあって面白いですね。

まとめ(余談)

ワールド・ウォーZの手法を取り入れたものをいくつか挙げてみました。どれもいい感じの物量と、蠢きっぷりですね。

 

この手法はよく考えたもので、『走るゾンビ』系の「もはや生き残れる気がしない」絶望感を引き継ぎながら、ゾンビのあり方として新しい次元にあります。

 

それだけでなく、一種の災害というか、かつて津波やマグマあるいはクリーチャーで描かれた『圧倒的な物量による脅威』の側面から見ても新機軸。ゾンビが物量で雪崩れてくるなんて聞いたことも見たこともなかったですから。いざ観てみれば、その手のダイナミックなディザスター映画 / モンスター・パニック映画どちらのフォーマットとも互換性があることが分かります。

 

加えて、「ゾンビもの」でありながら、大作系の映画向き。『ワールド・ウォーZ』はブラッド・ピット主演の超大作ですが、ゾンビ映画の作風としてもビジネスとしてもこれほどスケールの大きい作品っておそらく過去になかったんじゃないかと。『釜山行き』も大衆向けの大作として作られ、爆発的ヒットを収めています。

 

危惧される点としては、ゾンビというには元来の持ち味や風情がない、という向きもありそうですね。ミニマルな脅威・恐怖の演出の面はどうなのかとか。人間同士の衝突は?とか。

それについては、『ワールド・ウォーZ』のゾンビも社会情勢のメタ表現として機能していたように思いますし、閉鎖的なシチュエーションでの息の詰まるようなシーンもありました。『釜山行き』も「鉄道」という逃げ場のない息苦しい舞台に限定したのがよかったのか、高い評価を獲得。『ワールドウォーZ』はゾンビの新たな表現が最大の目玉であることもあり、この災害と主役のブラッド・ピットの奮闘にほぼ焦点が絞られていましたが、「釜山行き」はキャラクターも豊富で、より個人的な人間ドラマやサバイバルも描かれていそうなニオイがします。

結局、この表現方法が活きるかどうかは監督や制作陣の力量次第ということでしょう。

 

今後どんな作品が出てくるか。とても楽しみです。